あなたと読む恋の歌百首
俵 万智・著 ヨリ
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参考ファイル

一度だけ本当の恋がありまして
  南天の実が知っております

謝られ満たされてしまふ
   また続けるしかたなくなってしまふ

こころみにお前と呼ばばおどろくか
   おどろくか否かおどろくか否か

もろともに冬幾たびを籠りつつ
   きみこそもっと知りたきひとり

約束の果されぬ故に
つながれる君との距離をいつくしみおり

束縛をするなら
もっと柔らかいシルクのリボンで縛ってほしい

房総へ花摘みにゆき
そののちにつきとばされるやうに別れき

古城址にわれを導く
処女にて生きてゐる肩丸く小さく

いのちを降りゐし雨の夜に
入りても止まずやみがたく人思ふなり

交合は知りゐたれども
かくばかり恋しきはしらずと魚玄機言ひき

われら憂鬱の時代を生きて
恋せしと碑銘に書かむ世紀更けたり

白い手紙がとどいて明日は春となる
うすいがらすも磨いて待たう

チェロを抱くように抱かせてなるものか
この風琴はおのずから鳴る

男でなく大人の返事する君に
       チョコレート革命起こす