一度だけ本当の恋がありまして 南天の実が知っております
謝られ満たされてしまふ また続けるしかたなくなってしまふ
こころみにお前と呼ばばおどろくか おどろくか否かおどろくか否か
もろともに冬幾たびを籠りつつ きみこそもっと知りたきひとり
約束の果されぬ故に つながれる君との距離をいつくしみおり
束縛をするなら もっと柔らかいシルクのリボンで縛ってほしい
房総へ花摘みにゆき そののちにつきとばされるやうに別れき
古城址にわれを導く 処女にて生きてゐる肩丸く小さく
いのちを降りゐし雨の夜に 入りても止まずやみがたく人思ふなり
交合は知りゐたれども かくばかり恋しきはしらずと魚玄機言ひき
われら憂鬱の時代を生きて 恋せしと碑銘に書かむ世紀更けたり
白い手紙がとどいて明日は春となる うすいがらすも磨いて待たう
チェロを抱くように抱かせてなるものか この風琴はおのずから鳴る
男でなく大人の返事する君に チョコレート革命起こす