よし 
河野 鐵兜
文政八(1825)〜慶応三(1867)

山禽叫斷夜寥寥

無限春風恨未銷

露臥延元陵下月

滿身花影夢南朝
山禽叫さんきんさけ えてよる 寥寥りょうりょう
げん春風しゅんぷううらみいま えず
延元えんげん りょう つき
滿身まんしん えい 南朝なんちょうゆめ

昼間さかんに鳴いていた山鳥の声も絶えて、夜はひっそりとさびしい。
そよそよと吹く春風は、大業をなしとげられなかった恨みを、いつまでも残しているように思われる。
そのような中 で、延元の帝、後醍醐天皇のみささぎのほとりに、月の光を受けながら野宿すると、身はすっかり花につつまれ て、いつの間にか南朝の昔を夢見ているのであった。