昼間さかんに鳴いていた山鳥の声も絶えて、夜はひっそりとさびしい。 そよそよと吹く春風は、大業をなしとげられなかった恨みを、いつまでも残しているように思われる。 そのような中 で、延元の帝、後醍醐天皇のみささぎのほとりに、月の光を受けながら野宿すると、身はすっかり花につつまれ て、いつの間にか南朝の昔を夢見ているのであった。