はるばると晩秋のもの寂しい山を登って行く。 石を敷きつめた山の道は斜めにどこまでも続いている。 白い雲が 湧く上がっているあたりに人家が見える。 車を止めて、そのままうっとりと夕暮れの楓の林の美しさに見とれた。 霜 のために色づいた楓の葉は、夕陽を受けて一段と赤く映え、二月に咲く桃の花よりも美しかった。