塞上さいじょう にて吹笛すいてき
高 適
盛唐 (707〜765)

雪浄胡天牧馬還

月明羌笛戍樓

借問梅花何處落

風吹一夜滿關山
雪浄ゆききよ くして 天牧てんぼく かえ
つき あきらか にしてきよう てき じゅ 樓間ろうへだ
しゃ もんばい いず れのところ にか つる
かぜ きていち 間山かんざん

雪のきよらかに降りつもる胡の国の空の下、放牧の馬が帰ってくる。
明るい月の光の中では遠い物見やぐらから「落梅花」の曲を吹く胡の笛の音が聞こえてくる。
さて、お尋ねしよう。その梅の花は、いったいどこに散ってしまったのか。
いや、それは一夜風の吹くままに、国境の山々に散りつもるのである。
笛の音が至るところにひびきわたるのだから。