北海からの北風は、大地を動かすかのように、すさまじい勢いで吹いてくる。 その風の中で、王昭君のほこらのあ たりから遠く龍堆の戦場をながめた。 ここで死んだ若者達は、みな髑髏と化したであろうが、いずれも長城を守っ た兵士である。 この日暮れに風が起きると、また一段と砂塵が舞い上がるが、それは彼らの骨が灰となって飛ぶ のである。