なつ
江馬 細香
寛政元 (1789) 〜 文久三 (1863)

雨晴庭上竹風多

新月如眉繊影斜

深夜貪涼窓不掩

暗香和枕合歓花
雨晴あめはれ れててい じょう 竹風ちくふう おお
新月しんげつ まゆごと繊影せんえい ななめ なり
しん りょうむさぼ ってまど おお わざれば
暗香あんこう まくら はな

今まで激しく降っていた夕立も上がり、庭先には、涼しげに竹の葉をそよがせて風が吹いている。
空には新月がまるで眉のように細く斜めにかかっていある。
夜がふけても、涼を求めて窓を閉じずにおくと、どこからともなくネムの花の芳しい香りが漂ってきて、私のまくらにとけこんでくるのである。