今まで激しく降っていた夕立も上がり、庭先には、涼しげに竹の葉をそよがせて風が吹いている。 空には新月がまるで眉のように細く斜めにかかっていある。 夜がふけても、涼を求めて窓を閉じずにおくと、どこからともなくネムの花の芳しい香りが漂ってきて、私のまくらにとけこんでくるのである。