忠義の諌言が行われなければ、忠義に死するのみである。 楠公がその子正行にいろいろと教えを遺したのはその忠義の心があったからである。 かって天子より一ふりの刀を頂戴したが、その三尺の刀をこの遺訓にあわせて正行に与えたのであった。 子におくったこの三尺の刀は果たして他日、彼の死後、あの賊どもの胆を寒からしめたのであった。