弘 道 館こう どう かん に て ばい しょう
徳川 薺昭
寛政十二 (1800) 〜 万延元年 (1860)

弘道館中千樹梅

清香馥郁十分開

好文豈謂無威武

雪裡占春天下魁
弘道こうどう 館中かんちゅう 千樹せんじゅうめ
清香せいこう 馥郁ふくいく じゅう ぶんひら
好文こうぶん あに しと わんや
せつ はるてん さきがけ

弘道館内にあるたくさんの梅は、今を盛りと咲き競い、清々しい香りを馥郁と漂わせている。
梅は異名を好文木といわれるように、文学に関係が深いが、であるからといって武道には関係がないと、どうしていうことができようか。
雪のなお残る初春に、厳しい寒さを衝いて、他の花には先駆けていちはやく春を独り占めにして美しい花を咲かせるのである。
まさしく堂々たる威武の姿といってよいであろう。