○山荘==内新王のおられる賀茂斎院 (現在の下鴨神社の辺り) 。
○寂寂==さびしく静かなさま。
○幽荘山樹裏==嵯峨の奥深くにある草木に囲まれた幽寂な山荘。
○仙輿一降==仙人の輿、すなわち天皇の御輿が臨御される。仙は山に入って不老不死の術を得た人のことをいうが、転じて上皇・天皇に関する語につける。
○池塘==池のつつみ。池のほとり。
○棲林孤鳥==林に棲むただ一羽の鳥。賀茂斎院としてさびしく暮らしている作者をさす。
○春沢==春のめぐみ。天皇から受ける暖かいめぐみ。
○隠澗寒花==谷間に隠れてわびしく咲いている花。作者にたとえる。澗は山あいにある川。谷川。
○泉声近報==泉の声が近くに聞える。
○初雷==夏の始めに鳴る雷。天皇行幸の賑わいをそれとなくいう。
○山色==山の景色。天皇の御気色をいう。
○暮雨行==夕暮れの雨が行列をなしている。
○渥==てあついこと。
○穹蒼==大空。天のようにありがたい恵みの意味から天皇の恩沢をいう。穹蒼は弓形になっている青空の意から大空をいう。
|