○落花==詠物詩の題名としてよく使われる。花の散るのを惜しむ詩は多く、落花のほか惜花などの詩題の作が多く作られている。此花は桜の花であろう。
○莫==勿・母とも書く。 「~~してはならない」 の意。
○将==以と同じ。 「~~によって」 の意。
○開落==花の開いたり散ったりすること。
○問東皇== “東皇” は春の神。東帝・青帝ともいう。春の神に何故花の開落をあわただしくするかを問う意。
○繁華==草木が繁り花咲くこと。また、人の若く盛んな時に例える。
○易夕陽==夕陽になりやすいこと。夕日は凋落を象徴する。盛んなものがすぐに衰えることをいう。栄華盛衰のことわりをいう。
○臨水==水面を見下ろす。花が水に影を落として咲いていたからいう。
○難尋==かって華やかに水面に映じていた花を探し当てるに困難である事をいう。
○当日影==さかりの頃、水に映った花の鮮やかな印象。
○倚欄==欄干によりかかって。
○猶==いつまでも。やはり。
○唱満庭芳==満庭芳の詞をうたう。「満庭芳 」 は詞譜の名、また曲譜。
○三春==一年を四季に分けたうちの、春三ヶ月。
○綺夢==美しい夢。綺はあやぎぬ。
○風前遠==春の美しい夢も、風の前に散ってしまい遠のく。
○十里==十里の間。雨が十里にわたって降っていることをいう。昔、国道の休憩所は十里ごとに設けられた。長い距離をいう。
○珠簾==たまかざりのついたすだれ。美しいすだれ。
○雨裏涼==雨中の光景にさびしさがある。 “涼” はひややかでさびしい意。
○縦使== 「たとい~~するとも」 の意。
○紅顔==あかくつやつやした顔。美人の顔。ただしここでは花をいう。
○空谷==人気のない谷。さびしい谷。
○寧== 「どうして~~しようか、いや~~しない」 の意。
○柳絮==柳のわた。柳花。柳の実が熟して、春の終わり頃、雪のように乱れ飛ぶもの。
○顛狂==気が狂うこと。柳絮が乱れ飛ぶさまをいう。
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