○除夜==大晦日の夜。 ○寒燈==もの寂しい灯火。
○客心==旅に出ている者の心。客は旅人。ここでは作者を指す。
○何事==どうしてか、自問自答している
○轉==いよいよ。いっそう。
○悽然==ものさびしいこと。
○思千里==思うの主語を作者とするのと、故郷の人とするのと二通りある。作者とすれば 「私は千里も離れた故郷のことを今夜思っている」
と倒装になる。しかし、ここは、この語序の通り、 「故郷の人が千里も離れた私を思っているだろう」 とするほうが味わいが深いようだ。その意味を明瞭に表すため、
「千里を思うならん」 と読む読み方もある。しかし、わざわざ推量の語を用いないでもよいので、読みとしては前述のように
「千里を思う」 としておく。
○霜鬢==白髪のこと。鬢は耳ぎわの髪の毛を言うが、ここでは髪全体を意味する。
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