よし
藤井 竹外
文化四 (1807)〜慶応二 (1866))
りょうしょう はく てん ぴょう
さん はるたず ぬればはるせき りょう
せつ老僧ろうそう とき くことを
らっ ふかところなん ちょう
古陵松柏吼天?

山寺尋春春寂寥

眉雪老僧時輟掃

落花深處説南朝

古いみささぎの松や柏は、吹きわたるつむじ風に、はげしい音を立てている。
私はこの山の寺院の春の景色を尋ねて来たのであったが、境内には春を探る人影もなく、ひっそりとしてまことに物寂しい。
ただ、真っ白い眉の老僧が一人、庭を掃くその手を止めて、散りしきる花びらの中で、南朝について説き聞かせてくれるのである。