見返れば大阪城はぼんやりと朧に霞かすみ、舟の窓近く聞こえるほととぎすの声に思いは沈むばかりである。 自分は今帝都ののみ気になり、夢にも家郷のことは見ず帝都のことのみ見るのであるが、この一片の真心を人は知ってくれるであろうか。