よる てん 宿しゅくげつ らい いで つとたい
王 守仁
明 (1472 〜 1528)

昨夜月明峯頂宿

隠隠雷聲在山麓

暁來卻問山下人

風雨三更捲茆屋
さく 月明げつめい ほう ちょう宿しゅく
隠隠いんいん たる 雷声らいせい 山麓さんろく
ぎょう らい かえ って さん ひと わば
ふう 三更さんこう 茆屋ぼうおく くと

天池山に登り、昨夜は頂上に宿泊したが、山頂で見る月はこう皎々と輝いて別世界の如き観であった。
けれどもはげしい雷鳴が山のふもとの辺りに聞こえていた。
翌朝早々に下山して、里の人に、昨夜山頂で雷がはるか山裾のあたりに鳴るのを聞いたが、と訊ねると、果たして、昨夜すさまじい雷鳴と共に暴風雨が荒れ狂い、粗末な家が吹き飛ばされるほどだったという。