天池山に登り、昨夜は頂上に宿泊したが、山頂で見る月はこう皎々と輝いて別世界の如き観であった。 けれどもはげしい雷鳴が山のふもとの辺りに聞こえていた。 翌朝早々に下山して、里の人に、昨夜山頂で雷がはるか山裾のあたりに鳴るのを聞いたが、と訊ねると、果たして、昨夜すさまじい雷鳴と共に暴風雨が荒れ狂い、粗末な家が吹き飛ばされるほどだったという。