しゅう きゅう じゅう いん がい
韋 應物
中唐 (737 〜 790?)

懐君屬秋夜

散歩詠涼天

山空松子落

幽人應未眠
きみおも うて しゅう しょく
さん りょう てんえい
やま むな しゅうして しょう
幽人ゆうじん まさいまねむ らざるべし

平素から君のことを心にとめているのであるが、静かで寂しい秋にはことさら君のことが懐われて、冷たい夜空の下を、散歩しつつ詩を吟ずるのである。
山には人もなくひっそりと静まりかえって、ただ時おり、松かさの落ちる音が静寂を破って聞こえるだけである。
さだめし君も眠らずにいる事であろう。