洛陽の街にとどまっているうちに、いつしか木々の葉の散らせる秋風の渡る候となった。 郷里恋しさに手紙を書こうと思ったが、ゆのる思いにあれこれと書きたいことばかりである。 書いてはみたものの、あわただしく書いたので言い残したことはないかと気がかりでならない。そこで、手紙を託す人が出発する前に、もう一度開いて見るのである。