灌山
(
かんざん
)
の
小
(
しょう
)
影
(
えい
)
に
題
(
だい
)
す
(二首の一)
王 守仁
明 (1472 〜 1528)
一自移家入紫煙
深林住久遂忘年
山中莫道無供給
明月清風不用銭
一
(
ひと
)
たび
家
(
いえ
)
を
移
(
うつ
)
して
紫
(
し
)
煙
(
えん
)
に
入
(
い
)
りてより
深林
(
しんりん
)
住
(
じゅう
)
すること
久
(
ひさ
)
しくして
遂
(
つい
)
に
年
(
とし
)
を
忘
(
わす
)
る
山
(
さん
)
中
(
ちゅう
)
道
(
い
)
ういこと
莫
(
なか
)
れ
供
(
じょう
)
給
(
きゅう
)
無
(
な
)
しと
明月
(
めいげつ
)
清風
(
せいふう
)
銭
(
せん
)
を
用
(
もち
)
いず
一度もやのたなびく山中に居を移してより、森林の中に久しい間住んで年も忘れてしまう程である。
さて、山中は物の供給が不便だなどというなかれ、ここでは銭を用いずとも明月や清風を充分に楽しめるのだから。