辺（へん） 詞（し）
張 敬忠
初唐 (? 〜 ?)
五原春色舊來遲

二月垂楊未掛絲

即今河畔冰開日

正是長安花落時
五（ご） 原（げん） の 春（しゅん） 色（しょく） 旧（きゅう） 来（らい） 遲（おそ） し
二（に） 月（がつ） 垂楊（すいよう） 未（いま） だ 糸（いと） を 掛（か） けず
即今（そつこん） 河（か） 畔（はん） 氷（こおり） 開（ひら） く 日（ひ）
正（まさ） に 是（こ） れ 長（ちょう） 安（あん） 花（はな） 落（お） つる 時（とき）

この辺境の五原地方は、春景色になるのがもっとも遅い所だ。
もう二月 (旧暦・仲春) だというのに、しだれ柳がまだ芽をふかないままだ。
黄河のほとりのこの地方では、今頃やっと氷がとけ始めたばかりだが、都の長安では、もう花が散る頃であろう。