えん べつ ぎょうだい
賀 知章
初唐 (659 〜 744)

主人不相識

偶坐爲林泉

莫謾愁沽酒

嚢中自有銭

しゅ じん あい らず
ぐう 林泉りんせんため なり
まんさけ うを うりょ うる なか
のう ちゅう おのずかせん


この別荘の主人とは、べつに旧知の間がらではない。それなのにいま、その主人と、こうして向かい合って坐っているのは、このみごとな林や泉の庭園を見たい為なのである。
さて、ご主人、どうかもてなしの酒を買おうなどと無用の心配はしないで戴きたい、酒が飲みたければ、財布の中には、ほら、こうしてちゃんと銭も入っているのですから。