しゅう せき うか
梁田 蛻巖
寛文十二 (1672) 〜 宝暦七 (1757)

湖北湖南暮色濃

停?囘首問孤松

滄波兩岸秋風起

吹送叡山雲裏鐘
ほく なん しょく こま やかなり
さおとどおうべめぐ らして しょう
そう りょう がん しゅう ふう こり
おく叡山えいざん うん かね

琵琶湖上に舟を浮かべて遠く見渡せば、湖北も湖南も一様に夕暮れの気配が深い。
こうした中で棹を止めて、唐崎の松はどの辺りかと見まわすが定かではない。
青い波の寄せる両岸には、はや秋風が起こり、其の風ののって、雲にかくれた比叡山でつき鳴らす鐘の音が聞こえてくる。