せん じゅう しち かい さい
きょう
れいしたが って行香こうこうるい これ
菅 茶山
寛延元 (1748) 〜 文政十 (1826)

舊夢茫茫十七春

梅花細雨復芳辰

墳前稽?頭全白

會是懐中索乳人
きゅう 茫茫ぼうぼう たりじゅう しち しゅん
ばい さい 芳辰ほうしん
墳前ふんぜん稽?けいそう すればこうべ まったしろ
かつかい ちゅう ちちもと めしひと

母が亡くなって十七年、母の在りし頃を思いかえすと、まるで夢のように、ぼんやりとした記憶の彼方である。
そして今年もまた母の亡くなった時のように、梅の花が香り、小雨の降る時節がめぐって来た。
いま墓前にこうして額突くわたしは、頭がすっかり白くなってしまったが、かってはこの地下に眠る母の懐に抱かれ、乳を求めた赤子であった。