玉のように美しい梅の姿は、当然仙人の住むうてなにあるべきなのに、一体誰がこの人間界の江南の地のあちこちに植えたのであろうか。
雪が積もった中に花を開いた様は山中に高士の臥するが如く気高く、また、月の光の明るい時は、林下に美人が立っているような美しさである。
まばらな花の影が寂しげに寄り添っているのは、いかにも寒そうに見え、花が落ちてから一面の苔に残香を漂わせているのは、春がそこに名残を留めているようである。
梁の何遜という人は大変に梅を愛した人で、花が咲けば名士を招いて観梅の宴を開いて詩を作ったというが、今はその人も世を去って好詩を詠ずる人もいないのに、年々東風の吹く頃になれば、寂しげに花を咲かせるのである。
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