ちょく
王 安石
北宋 (1021 〜 1086)

金爐香盡漏聲残

翦翦輕風陣陣寒

春色悩人眠不得

月移花影上欄干
きん こう きて漏声ろうせい のこ
翦翦せんせん たる軽風けいふう じん じん としてさむ
しゅんしょく ひとなや ませてねむ
つき うつ って えい 欄干らんかんのぼ

春の夜、宮中に宿直して夜も更けると、黄金の香炉の香も燃え尽き、水時計の音もわびしい感じである。
薄ら寒い風がひとしきり、吹いてきては止み、止んではまた吹いてくる。
春の夜のたたずまいはわたしを悩ませてなかなか寝つかれない。
月が移って今まで見えなかった花の影が欄干の上に現れて来た。」