しん せい こう ごう
武田 信玄
大永元 (1521) 〜 天正元 (1573)

淑気未融春尚遅

霜辛雪苦豈言詩

此情愧被東風咲

吟斷江南梅一枝
しゅく いまとお らずはる なお おそ
そう しん せつ あに わんや
じょう 東風とうふうわら われんことを
吟断ぎんだん江南こうなんうめ いつ

新年を迎えて暦の上では春であるが、未だ春に気配は感じられず、今もって霜や雪に悩まされているので、とても詩を作る気にもならない。
しかし、詩情がわかないなどと無風流なことを言えば、東風に笑われるのも恥ずかしいから、先ず江南一枝の梅の詩を吟じて新春の気分を味わうことにしよう。