山岳(さんがく) 崩(くず) す可(べ) し海(うみ) 飜(ひるがえ) す可(べ) し 消(しょう) せず四(し) 十(じゅう) 七(しち) 士(し) の魂(こん) 墳前(ふんぜん) 満(まん) 地(ち) 草苔(そうたい) 湿(うるお) う 尽(ことごと) く是(こ) れ行人(こうじん) 流(りゅう) 涕(てい) の痕(あと)
山岳も崩すことが出来ようし、海も覆すことが出来よう。 だが、あの赤穂四十七士の忠魂を消滅させることは出来ないであろう。 今でも泉岳寺の墓前では、辺りの草や苔がしっとりとぬれている。 これはすべて、後人が墓前にぬかずいて感涙を流したあとなのである。