おけ はざ
太田 錦城
明和二 (1765) 〜 文政八 (1825)

荒原弔古古墳前

戰克將驕何得全

怪風吹雨晝如晦

驚破奇兵降自天
荒原こうげん いにしえとむろ ふんまえ
たたか ってしょう おごなんまつた きを
怪風かいふう あめ いてひる やみごと
きょう へい てん よりくだ るかと

尾張丘陵の荒野、桶狭間にある古き塚の前に立ち、往事を偲んで感慨にたえない。
当時今川義元は中原制覇をこころざし、其の緒戦に勝って勝利の酒に酔っていた。
将としてこのような事で其の目的を全うすることが出来ようか。
果たせるかな怪しい風は雨を吹き、空は掻き曇って闇の如くなったと見るや忽ち織田の奇兵の襲うところとなった。
「敵は天より下りしか」 とあわてたが時遅く遂に敗亡したのである。