じゅく せいしめ
尾藤 二洲
延享二 (1745) 〜 文化十 (1813)

君曹欲爲士

須先成男子

男子貴剛正

陽道斯爲爾

何乃近世人

一與兒女似

孳孳務言貌

不務卻爲恥

男子有當行

可恥豈在此

須去妾婦態

速會剛正字

良馬不在毛

爲士在其志
きみともがら らんとほつ せば
すべか らくだん るべし
だん 剛正ごうせいたっと
陽道ようどう これしか りと
なんすなわ近世きんせいひと
いつ じょ たる
として言貌げんぼうつと
つと めざればかえ ってはじ
だん まさおこの うべきこと
きはあに ここ らんや
すべか らくしょう たい るべし
すみや かに剛正ごうせいかい せよ
りょう らず
たるはこころざし

諸君が立派な人物になろうと思うなら、まず何としても 「男」 にならなくてはいけない。
男は強く正しきことを貴ぶ。易にいう陽道がすなわちそれである。
ところが何ということであろう。近ごろの男といえば、ひたすら女の子に似て、ただ言葉や姿を気にし、そうしないことを恥じとするのである。
男には当然なすべきことが有る。恥ずべきことはそんなところにあるのではないのだ。
はした女のような振る舞いをやめよ、そしてすみやかに剛正の文字が持つ意味を会得せねばならぬ。
よい馬としての条件は毛の色ではないのだ。そのように、すぐれた人物であるためには、その志こそが重要なのだ。