宜陽のまちの郊外には、春の若草が生い茂り、その間を東へ流れる谷川の水は途中で折れて、またもとに戻るかのように西へと向かって流れて行く。 かぐわしい香りの花の咲く木々には、その花をめでる人の姿もないままに、ただ花だけが靜に散って、春の山路はただ一すじ、そこに鳴く鳥のさえずりを聞く人もまたないままに、鳥のさえずる声が響いている。