えびすの兵士たちが、とりでにかかる月に向かって曉に吹く笛の音は、いかにも物悲しい。 世は春になったというものの、辺地の梅も柳も未だ花を開こうとはしていない。 自分は、国恩に報いんとして、都から遠く離れた荒涼たる中で老いて行くのである。