しゅん
蘇 東坡
北宋 (1036 〜 1101)

春宵一刻値千金

花有清香月有陰

歌管樓臺聲細細

鞦韆院落夜沈沈
春宵しゅんしょう 一刻いっこく あたい 千金せんきん
はな清香せいこう つきかげ
かん 楼台ろうだい こえ 細細さいさい
鞦韆しゅうせん 院落いんらく よる 沈沈ちんちん

春の宵の一刻は千金にも値する。
咲き乱れる花は清香を漂わせ、月はおぼろにかすんで何とも言えない風情である。
たかどのから聞こえていた歌声も笛の音も、ぶらんこのある中庭で遊んでいた女子たちの声も次第に静まり、こののどかな春の宵の一時を、夜の更けるまで、心ゆくまで楽しんでいるのである。