秋風がサーッと吹きわたると、そのたびに木々の葉に置く白露がしたたり落ちて冷気を覚えさせる。 自分は幽囚の身となって、一人ここに坐しているが、真夜中はいよいよ靜である。 ただ月のみがこの幽居を尋ね、自分の曇りのない真心を照らし出して慰めてくれるのである。