しゅつ きょうさく
佐野 竹之助
天保十 (1839) 〜 万延元 (1860)

決然去國向天涯

生別又兼死別時

弟妹不知阿兄志

慇懃牽袖問歸期
決然けつぜん くに って天涯てんがいむこ
生別せいべつ また べつとき
弟妹ていまい らず けいこころざし
慇懃いんぎんそで いて

今自分は井伊大老を討とうと心に決して、故郷水戸を出ようとしている。
この別れは死別と同じことで、再び帰りことは出来ないであろう。
然るに弟や妹はこれを知らないで、わが袖を引いて、 「兄上はいつお帰りになるのですか」 と問うのである。