だんうら はく
木下 犀潭
文化二 (1805) 〜 慶応三 (1867)

篷窓月落不成眠

壇浦春風五夜船

漁笛一聲吹恨去

養和陵下水如煙
篷窓ほうそう つき ちてねむ りを さず
だんうらしゅん ぷう ふね
漁笛ぎょてき 一声いっせい うら みを いて
よう りょう みず けむりごと

今宵は平家一門の沈んだ壇の浦に舟泊りしたが、窓を照らしていた月も沈んでしまったのになかなか眠れない。
暖かい春風が吹き、夜明け近くなった。折から漁笛が聞こえてきたが、その音は安徳帝や平家一門の恨みを込めているようであり、養和の御陵の下の海面はかすんで煙が立ち込めているようである。