うみうか
王 守仁
明 (1472 〜 1528)
けん もと きょう ちゅうとどこお らず
なんこと ならん うん大空たいくう ぐるに
しずか なり海濤かいとう 三万さんまん
月明げつめいしゃく ばして天風てんぷうくだ
險夷原不滞胸中

何異浮雲過大空

夜静海濤三萬里

月明飛錫下天風

海路が安全であるとかないとかいったことはもともと心の中にこだわることではない。
そのようなことは大空に浮ぶ雲が、風に流されていくのと同じである。
夜の波静かな三万里の海上に船を乗り出し、月明りの下、あたかも錫杖を飛ばして天空をゆくかのように海を渡ろうというのである。