しん りょう しょ
菊地 三渓
文政二 (1815) 〜 明治二十四 (1891)

秋動梧桐葉落初

新涼早已到郊墟

半簾斜月清於水

絡緯聲中夜讀書
あきうご とう つるのはじめ
しん りょう すでこう きょいた
半簾はんれんしゃ 月水げつみず よりもきよ
らく 声中せいちゅう よる しょ

桐の葉が散りはじめるとともに初秋の気が立ち、郊外の原野はすでに新涼の候となった。
半分ほど巻き上げた簾の間からさし込む月の光は、水よりも清く澄んでいる、 正に灯火親しむの候である。
くつわ虫の鳴く声を聞きながら、灯の下で読書をする、まことによい時節である。