桐の葉が散りはじめるとともに初秋の気が立ち、郊外の原野はすでに新涼の候となった。 半分ほど巻き上げた簾の間からさし込む月の光は、水よりも清く澄んでいる、 正に灯火親しむの候である。 くつわ虫の鳴く声を聞きながら、灯の下で読書をする、まことによい時節である。