こう なんはる
杜 牧
晩唐 (803〜852)

千里鶯啼緑映紅

水村山郭酒旗風

南朝四百八十寺

多少樓臺煙雨中
せん うぐいす いてみどり くれないえい
水村すいそん 山郭さんかく しゅ かぜ
南朝なんちょう ひゃく はっ しん
しょう楼台ろうだい えん うち

春はこの江南の広々とした地に満ちて鶯が鳴き、草木の緑が紅い花に照り映えて美しい。
水辺の村や山沿いの村には、酒屋の看板の旗が風になびいている。
思えば昔はこのあたりは南朝が都を置いたところで、当時は四百八十もの寺があって仏教が盛んであった。
今もその名残を示すかのように、多くの堂塔が霧雨の中にけぶっているのである。