ここの こう ちょう ともしゅう し て せいおう
菅原 道眞
承和十二年 (845) 〜延喜三 (903)
じょう しょう としわた りていく たびかたの める
よい もの ぜんかな
こえさむらく かぜ くのところ
とう あめ つのとき
きみしゅん じゅう ませたまえどしん ようや
おん涯岸がいがん むく ゆることなお おそ
らず なに にかあん せん
さけことまた えい ぜん
丞相度年幾樂思

今宵觸物自然悲

聲寒絡緯風吹處

葉落梧桐雨打時

君富春秋臣漸老

恩無涯岸報猶遲

不知此意何安慰

飲酒聽琴又詠詩

丞相として年を経ましたが、私には心から楽しめたことがどれほどございましたでしょうか。
今宵は見聞きするものすべて悲しみを誘うばかりです。
秋風の吹く処、くつわ虫の声も悲しく、雨で桐の葉も散っていきます。
わが君はお若く、私は老境に入りました。
君の御恩は限りがありませんのに、それへのお返しは思うにまかせません。
この気持ちを何で慰めたらよいでしょうか。
酒を飲み、琴を聴き、詩を作るばかりでございます。