丞相として年を経ましたが、私には心から楽しめたことがどれほどございましたでしょうか。 今宵は見聞きするものすべて悲しみを誘うばかりです。 秋風の吹く処、くつわ虫の声も悲しく、雨で桐の葉も散っていきます。 わが君はお若く、私は老境に入りました。 君の御恩は限りがありませんのに、それへのお返しは思うにまかせません。 この気持ちを何で慰めたらよいでしょうか。 酒を飲み、琴を聴き、詩を作るばかりでございます。