かん さん げつ
祇園 南海
延宝五(1677)〜宝暦元(1751)

秦嶺西去關塞深

秦雲遙隔望郷心

不見長安惟見月

鳳城何處照鳴砧
秦嶺西しんれいにしれば關塞深く
秦雲遙しんうんはるかにへだ望郷ぼうきょうこころ
長安ちょうあんずして惟月ただつき
鳳城何ほうじょういずれのところにか鳴砧めいちんらす

秦嶺から、西の方へ出ていった山深いところに、国境のとりでがある。
秦嶺をおおい閉ざす雲は、私の故郷(長安)をなつかしむ思いまでもとざしてしまう。
なつかしい長安は見ることが出来ず、見えるのはただ空高く輝く月だけである。
この月は都のどのあたりの砧を照らしているのだろうか。
わたしの妻が砧を打つ姿を照らしているのであろうか。