旅にあって、自分の姿につくづくと老いを感ずる。我が髪の毛は霜のように白く、身は衰えてどうしようもない。 空 を吹く風すらも、吹いたあとには一ひらの浮雲を残してその足跡とする。 しかし一所不在をこととして定所のない私には、足跡さえ残らない。 今夜はいったいどこに泊まることになるので あろうか。 古い寺の鐘楼から夕暮れの鐘の音が聞こえてくる。