雪は山中のわが家を埋めんばかりに降り積もり、樹木の陰もひっそりと静まりかえっている。 軒端の風鈴も音を立てず、夜は静かの更けてゆく。 心静かに取り散らかした書物を一冊一冊整理しながら、その書物の疑義について考えていると、灯の青い光の中に、いつしか遠い昔の聖賢の心に通うような思いになるのである。