太田道灌は、ある日一人で馬に乗って出かけたのだが、雨が急に降り出した。 一軒の貧しいあばらやに立ち寄って雨やどりをし、蓑を借りようとすると、一人の少女が出て来て、一本の山吹の花を差し出した。 少女は一言もしゃべらず、また花も何も語ろうとしない。 この武将は、それがまた何のことか全くわからず、思いまどうのみであった。