田 園 雑 興でんえんざっきょう
伊藤 東涯
寛文十(1670)〜元文元(1736)

矮籬風壓索牛掛

老屋雨蒸木耳生

戸戸明燈催夜作

村村喧鼓賽秋成
わい風圧かぜあつして索牛けんぎゅうかり
老屋雨ろうおくあめしてもくしょう
明燈めいとうもよお
そんそんけん秋成しゅうせいさい

低い垣根は押し吹かれて傾き、朝顔の蔓がからみついている。古くなってしまった家は、雨漏りが蒸れて、きのこ が生え出している。
どの家からも、夜なべ仕事をせきたてるような灯りがほの明るくもれ、村々では、秋の豊作に 感謝する朝からの祭りの太鼓が賑やかに響いている。