武(ぶ)陵(りょう)の秋色(しゅうしょく)月嬋娟(つきせんけん) 曠(こう)野(や)平原晴(へいげんはれ)れて快然(かいぜん) 青青(せいせい)を輾(てん)破(ぱ)し轍迹(てっせき) 無(な)く 一輪千(いちりんせん)里(り)草天(くさてん)に連(つなら)る
武蔵野の野原の秋の景色はまことにすばらしい。 月はあでやかに美しくかがやき、野は遠く平らかにどこまでも 広がって、まことに気持ちがよい。 それは草のみどりをどこまでも敷きつらねて車の轍の迹もなく、車といえばただひとつ、まんまるい月が、空高く 千里のかなたに輝き、その光をうけてこの草原は遠い大空と、ひとつづきになっているのである。