あか せき
伊形 靈雨
延享二 (1745) 〜 天明七 (1789)

長風破浪一帆還

碧海遥環赤馬關

三十六灘行欲盡

天邊始見鎮西山
ちょう ふう なみやぶ っていっ ぱん かえ
碧海へきかい はる かにめぐあか せき
さん じゅう ろく だん くゆく きんとほっ
天辺てんぺん はじ めて鎮西ちんぜいやま

はるか彼方から吹き寄せる風を受けて、わが帆船は万里の波を破って帰るのである。
瀬戸内海の海原を、多くの岬や島々をめぐって、はるばる赤馬が関へと航路を取る。
多くの早瀬などの難所を乗りきり、やがて波の静かなところへ出ようとする頃、空の彼方に始めて故郷九州の山々が見えるのであった。