続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
長 恨 歌
白 楽 天
蜀江は水碧にして蜀山は青し

聖主朝朝夕夕の情

行宮に月を見ては傷心の色

夜雨に鈴を聞けば断腸の声

春風桃季花開くの夜

秋雨梧桐葉落つるの時

西宮南苑秋草多く

落葉階に満ちて紅きも掃わず

夕殿に蛍飛んで思悄然

孤燈挑げ尽くして未だ眠りを成さず

遅遅たる鐘鼓初めて長き夜

耿耿たる星河曙けんと欲するの天

別れに臨みて慇懃に重ねて詞を寄す

詞の中に誓いあり両心のみ知る

七月七日の長生殿

夜半人無く私語の時

天に在りては願くは比翼の鳥となり

地に在りては願くば連理の枝とならん

天長地久時有りて尽くるとも

此の恨み綿々として尽くる期無し