続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
謫 居 之 作
西郷 南洲
朝に恩遇を蒙りて夕べには焚坑

人生の浮沈は晦明に似たり

縦い光を回らさざるも葵は日に向う

若し運を開く無きも意は誠を推す

埋もれて

  世には心の なき梅も

    春とや知らむ 花の香ぞする


洛陽の知己皆鬼と為り

南嶼の浮囚獨り生をぬすむ

生死何ぞ疑わん天の附與を

願わくば魂魄を留めて皇城を護らん