続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
曾 我 兄 弟
松口 月城
富士の山風雨を交えて吹く

上天此の夕べ二児を憐れむ

篝火の影は淡し裾野の陣

警柝響は遠ざかる狩屋の帷

十有八年朝又暮

憤恨涙を呑む知る者誰ぞ

  いかに祐経とく覚めよ

     曽我の五郎ぞ十郎ぞ

  忘れもすまじ父の仇

     討ちにくるとは知らざるか


枕を蹴って喚び起こす仇祐経

白刃一閃思いを晴らすの時

雨止み風収まりて雲月を吐く

凄壮照らし出だす兄弟の姿