続吟剣詩舞漢詩集

谷（たに）を出（い）ずるの新（しん）鴬（おう）
　　　聴（き）くに始（はじ）めて奇（き）なり
喬（きょう）に還（かえ）って
　　　汝（なんじ）誰（たれ）に向（む）かって期（き）せんと欲（ほつ）す
好（こう）音（いん）たとい凡（ぼん）禽（きん）に妬（ねた）まるとも
嬌（きょう）舌（ぜつ）俗（ぞく）耳（じ）の嬉（き）となるを休（や）めよ
雨（あめ）を柳（りゅう）陰（いん）に著（つ）け
　　　飛（と）ぶこと未（いま）だ遠（とお）からず
眠（めむ）りを枕（ちん）上（じょう）に催（もよお）し
　　　喚（さけ）ぶこと何（なん）ぞ遅（おそ）き
頭（こうべ）を回（めぐ）らして岑（しん）蔚（い）
　　　すべからく止（とど）まるを知（し）るべし
何（なん）ぞ必（かなら）ずしも上（じょう）林（りん）に一（いつ）枝（し）を求（もと）めんや