続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集
失 題
久坂 玄瑞
皇国の威名 海外に鳴る
誰か甘んぜん 烏帽犬羊の盟
廟堂 願わくば賜え尚行の剣
直ちに将軍を斬って聖明に答えん
述 懐
伊藤 博文
活識独り応に 変遷を知るべし
平凡何ぞ虚言を 語るに足らん
名を万世に沾るは吾が志に非ず
眼を千秋に注いで 宜しく先を察すべし
夷険を往来して 胆道を知る
死生を抛着して 皇天に任す
我徒須らく盡すべし 勤皇の事
一身の為に 瓦全を図る勿れ
囚 中 作
高杉 晋作
君見ずや死して忠鬼となる菅相公
霊魂尚在り天拝の峰
又見ずや石を懐き流れに投ず楚の屈平
今に至るも人は悲しむ泪羅江
古より讒間忠節を害し
忠臣君を思うて躬を懐わず
我も亦貶謫幽囚の士
二公を憶い起こして涙胸を沾す
恨むを休めよ空しく讒間の為に死するを
自ら後世議論の公なる在り