続 吟 剣 詩 舞 漢 詩 集


 
楠 公 詠 史
藤田 東湖
返らじと

  かねて思えば梓弓

   なき数に入る名をぞとどむる


大廈誰か知らん一本の支うるを

中興の成否は南枝に繁る

勤王義は結ぶ金剛の塁

逆賊膽は寒し菊水の旗

闕に還りて復當たるザイ虎の径

鞠躬奈ともする勿し廟堂の機

空しく千古精忠の気を餘し

凛冽として長えに百世の師と為る